各自治体の対応

 ごみ屋敷について、各自治体では苦慮しているのが現状のようですね。

なぜならば、他の記事でもお伝えしたように明らかに「ごみ屋敷」であっても、本人が「ごみではない」と主張してしまうとなす術がないからです。

ここでは、実際に行政が行った対応について取り上げてみましょう。

ごみ屋敷問題への対処は法律よりも各自治体の条例が先行してきました。

有名なのは足立区モデルと言われる形で、全国の自治体がそれを真似しています。

足立区では最大100万円まで区が撤去費用を負担できるのですが、個人宅の片付けに税金を使うのか、という反発も当然ありました。

しかし予算がついたことでNPO団体などへ委託できるようになり、かえって行政負担は安上がりになったようです。

専門部署と専任の職員を置き、再発防止も含めた対応も可能で、少しずつ成果をあげているようです。

この足立区に続けとばかりに全国各地で同様の条例が制定され、最近では京都市が条例施行から半年で数十世帯のごみを完全撤去したと明らかにしました。

ごみ屋敷対策にはこれが一番の打開策というものはないようです。

法律ができても通報するなど、すぐに行政に頼っては解決しないでしょう。

というのも、強制的に片づけても、住人の心のケアを継続しないとごみ屋敷は繰り返し発生するからです。

かつては民生委員が地域の住民の様子を把握し孤立を防いできました。

今でも同様のコミュニティが機能すればごみ問題になる前にいくらかは防げるでしょう。

このような意味で、ある程度の「おせっかい」は有効なのです。

強制撤去

 ごみを溜めてしまう「ごみ屋敷」問題をめぐり、京都市がある男性宅に対し、ごみ屋敷条例に基づく行政代執行に踏み切りました。

市と男性はやりとりを続けていましたが折り合いがつかず強制撤去に至ったようです。

私有地のごみ撤去について定めた同条例に基づく行政代執行は全国で初めてのようです。

市が男性に請求する金額はごみ袋代のみで最高でも1万円のようです。

ごみがあったのは男性宅前の私道(幅約1・3メートル)で積み上がったのは主に古紙などでした。

行政が私道の中に踏み込んでごみの強制撤去に踏み切った理由は、男性宅が集合住宅であり、住民は男性宅の前を通らなければ市道から出入りできないつくりだったからです。

ごみによって私道の道幅は約40センチにまで狭まり、男性宅の隣人は高齢の車いす利用者であり、車いすに乗ったまま出入りすることができない状態でした。

よって市は住民の通行に支障があると問題視したのです。

市は住民から相談を受けて対策に着手、3年後に道路法に基づき市道上のごみを撤去しましたが、私道部分のごみが残っていたため、ごみ屋敷条例に基づく今回の行政代執行に踏み切りました。

相談を受けてから実に6年もかかっています。

市によると、男性は撤去が始まったときは少し興奮状態でしたが、若い職員たちが男性に丁寧な対応を続けたせいか最後は手伝い、終了後には職員に対し感謝をしている様子も見せました。

今回の行政代執行の根拠となったごみ屋敷条例の正式名称は「京都市不良な生活環境を解消するための支援及び措置に関する条例」です。

条例では、指導や勧告をしても改善されない場合は、ごみを放置した人の氏名を記した標識を現地に設置したり、5万円以下の過料を科したりすることもできます。

また私有地のごみを行政代執行によって強制撤去できるのも特徴です。

強制執行

 行政上の強制執行というものは、その前提となる行政行為と強制執行自体にも法律の根拠がなければならないとされています。

現在、ごみ屋敷を解決できる法律はありませんが各自治体によるごみ屋敷規制に関する「条例」は存在するわけです。

ではこの条例を根拠に強制執行をすることはできないのでしょうか。

各自治体は、ごみ屋敷についての自主条例によって、撤去等の命令をし、それによる義務の履行がないのであれば、行政代執行法に基づいて強制執行をし、目的を実現することができるようです。

しかしこの強制執行はごみ屋敷の住人の意思に反して行われ、理解を得てないので、根本的な解決にはならないようですね。