ごみ屋敷と廃棄物処理法

 ごみ屋敷が近くにあった場合、どのように対応したらよいでしょうか。

法的な対応ができるのでしょうか、その辺りをここではみてみましょう。

ただ、これには難しい問題が山積しているようです。

そもそもゴミであるという認定ですら、本人がゴミではない財産だと主張すれば、誰も反論できません。

仮にゴミである、廃棄物であると認定されたとしても、ごみ屋敷に住んでいる人が、大切にため込んでいるだけだと主張したら、廃棄物処理法上の不法投棄や不法投棄を目的とした収集・運搬には該当しません。

さらに、一般廃棄物処理基準に適合しない処分とも言うことができません。

つまり、廃棄物処理法に基づいたごみ屋敷に対する問題解決は困難なのです。

 ちなみに、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)は、廃棄物の排出を抑え、発生した廃棄物はリサイクルする等の適正な処理をすることで、私たちの生活環境が安全に守られることを目的としています。

また、関連する法律として、上位に循環型社会の構築に向けた循環型社会形成推進基本法や、個別の廃棄物のリサイクルを推進するための法律として、容器包装リサイクル法、家電リサイクル法といった各種リサイクル法があります。

 こういった法がありながら、周辺住民からも苦情が出ても、所有者がそれをゴミではないと言ってしまえば、ゴミを撤去するための法的根拠がないのです。

ごみ屋敷の数について全国的な調査統計はありませんが、国土交通省が09年に全国の市区町村を対象に「外部不経済をもたらす土地利用」について設問した調査で、 回答のあった1217市区町村のうちの21%に当たる250市区町村が「ごみ屋敷問題がある」と回答しています。

これに対して、大量のごみをため込み、周辺に迷惑を及ぼすことに対して廃棄物処理法や悪臭防止法などでの規制もあるのですが、対象は主に事業者となります。

家庭内の一般ごみの強制撤去などの法的な根拠はやはりないのです。

そのような中、大量のごみを自宅にため込んで周辺住民の迷惑になっているごみ屋敷問題解決のために、条例を制定する自治体が増えています。

ごみ屋敷を巡っては憲法で保障された財産権に関わる問題と公共の福祉のはざまで対策に逡巡する自治体が多くみられました。

条例の内容は、強制的に撤去する行政代執行や罰則ばかりでなく発生原因を探り福祉的側面からアプローチを盛り込んだものがあります。

これは、各自治体とも住民と一体となった粘り強い取り組みを進めていく必要があるのです。

 ある自治体には、「生活環境の保全に関する条例」というものがあります。

これは、ごみ屋敷だけでなく雑草や樹木が生い茂り十分に管理されていない空き家などにも適用します。

条例では、職員の現場確認、調査をし、悪質なものには指導・勧告をします。

それでも改善されない場合は学識経験者らによる審議会を経て命令・公表、行政代執行による撤去も規定しています。

ただ、中には高齢で弱っていたり認知症などでごみを片付けられないケースもあるとして、ごみの処理などを自治体が代わって行う場合に1世帯1回、いくらかの補助金を支援します。

また、片付けに協力した者に対しては、謝礼金を支払うことも定めています。

 これにより、ごみ屋敷問題が劇的に解決したようです。

 アフターフォローとして、ごみを片付けただけでは解決ではなく、生活再建なども見据えて二度とごみ屋敷にならない状態にするまで粘り強く対応しているようです。

やはり、高齢や認知症などで仕方なくごみ屋敷になっているケースが思った以上に多いようです。

行政執行ありきではなく、時間をかけて当事者と話し、近隣住民と協力しながら解決していくのがやはりベストな選択のようです。