ごみ屋敷と道路交通法

 ごみ屋敷をめぐるトラブルが近年、全国各地で発生しています。

そして、周辺住民や自治体などを巻き込んで社会問題化している中で、2013年7月、奈良県でごみ屋敷の所有者がついに逮捕される事件が起きました。

63歳無職の女性は、5年ほど前から、自宅前の道路も含めてごみ屋敷化したため、奈良県警は異例ではありますが、道路法違反の疑いで逮捕を行いました。

これでごみ屋敷もなくなり、文字通りきれいさっぱり解決だ、と思われたかもしれませんが、女性が逮捕され、釈放された後もそのごみ屋敷は、ゴミに埋もれたままです。

残ったゴミを勝手には処分することはできなかったし、女性が戻った後も、そのゴミは女性の所有物のため、手が出せない状態だったのです。

逆に、勝手に処分をしたら、処分した者が、罪を問われるかもしれません。

よって、ごみ屋敷の所有者の逮捕だけでは、ごみ屋敷の根本的解決はできないといえます。

ですが、これ以上のごみ屋敷の巨大化を防ぐという意味で、ごみ屋敷の所有者の逮捕ができたということは、朗報と思う方もいるかもしれません。

そもそも、その逮捕の根拠となる法は、どのようなものがあるのか、みてみましょう。

 ここでは、道路交通法と道路法の二法についてみていきたいと思います。

その内容はどのようになっているのでしょうか。

以下がそれぞれの条文の該当する部分の抜粋です。

道路交通法第七十六条

1  何人も、信号機若しくは道路標識等又はこれらに類似する工作物若しくは物件をみだりに設置してはならない。

2  何人も、信号機又は道路標識等の効用を妨げるような工作物又は物件を設置してはならない。

3  何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない。

道路交通法第百十九条  次の各号のいずれかに該当する者は、三月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。

十二の四  第七十六条(禁止行為)第三項又は第七十七条(道路の使用の許可)第一項の規定に違反した者道路法第四十三条  何人も道路に関し、左に掲げる行為をしてはならない。

一  みだりに道路を損傷し、又は汚損すること。

二  みだりに道路に土石、竹木等の物件をたい積し、その他道路の構造又は交通に支障を及ぼす虞のある行為をすること。

道路法第十五条  都道府県道の管理は、その路線の存する都道府県が行う。

道路法第十六条  市町村道の管理は、その路線の存する市町村が行う。

道路法第七十一条  道路管理者は、次の各号のいずれかに該当する者に対して、この法律又はこの法律に基づく命令の規定によつて与えた許可若しくは承認を取り消し、その効力を停止し、若しくはその条件を変更し、又は行為若しくは工事の中止、道路(連結許可等に係る自動車専用道路と連結する施設を含む。以下この項において同じ。)に存する工作物その他の物件の改築、移転、除却若しくは当該工作物その他の物件により生ずべき損害を予防するために 必要な施設をすること若しくは道路を原状に回復することを命ずることができる。

この件では、道路法第四十三条の二項が適用されたのでしょう。

このように、道路に物を放置し、交通の障害になる行為は、道路交通法や道路法で禁止されていて、違反した場合は罰金の刑罰や、逮捕されることもあるということです。

ここで、道路法をみてみると、道路を管理する都道府県・市町村には一定の権限が与えられているように思います。

よって、警察と道路の管理者の役所の建設課などに、相談に行けば、ごみ屋敷の問題が解決できるとはいえないものの、解決の糸口が掴めるかもしれません。

しかし、現状の道路交通法や道路法だけでは、やはりごみ屋敷問題を完全に解決できないのも事実です。