ごみと財産

 社会問題としてたびたびニュースで取り上げられているごみ屋敷は、市町村などの現場が対応してきました。

ごみ屋敷対応の最前線では一体どのような問題が起こっているのでしょうか。

屋外に放置されているように見える家電製品、散らかった機械部品、野積みされた植物など・・・。

それらは他人から見れば明らかにごみだと思えるのですが、持ち主にとっては大事な所有物かもしれません。

しかしこのようにごみを溜めこんで、その為に悪臭や害虫被害が発生すると近隣住民への被害も無視できないですよね。

日本国憲法29条では財産権が保障されています。

これまで行政がごみ屋敷にきちんと対応できなかった理由のひとつでしょう。

ごみの処分に関しては、これまでに廃棄物処理法などの法的対策がとられてきました。

しかし、廃棄物処理法の対象は業者で個人宅のごみ屋敷は対象外だったのです。

そのため行政は対策がなかなか取れずにいたのです。

東京都足立区では足立区生活環境の保全に関する条例(通称・ごみ屋敷条例)を施行、ごみ屋敷撤去費用の原資が税金であることをきちんと認識し、 無駄遣いしないように弁護士や医師、自治会役員などで構成する生活環境保全審議会でチェックしています。

生活環境保全審議会の役割は、撤去費用が適正かどうかを見極めるだけではありません。

行政が一方的に家屋を強制撤去しないように、該当する物件が本当にごみ屋敷なのか、指導や勧告で十分に改善できるのではないか、といった対応策も話し合います。

監視する役割もあるのですね。

財産と主張

 客観的にはごみ屋敷に見えたとしても「これは財産です」と断言してしまうごみ屋敷の住人は本当に多いです。

そのような人へ速やかに片付けを勧めるのは容易ではありません。

まずはきっかけづくりからしていきましょう。

いきなり部屋の全てを片付けることは考えない方が良いですね。

特に使用頻度の高いスペースを片付けて過ごしやすくすることから始めていきましょう。

必要な物がすぐとれるように、と話しながら、一緒に1つずつ確認し、捨てる物と捨てない物に分けていきます。

決して家族や職員が勝手に判断して捨てたりしないことがポイントです。

初期段階で、「本人」に判断してもらうことを徹底します。

最初にこのように慎重な段階を踏むことで、安心して片づけやものを処分することができるようになり、その後はスムーズに作業が進むことが多いのです。

一見ごみのように見えるもの、果たして本当にごみなのか財産なのか線引きは非常に難しいでしょう。

そのような理由から、行政が強制的にごみを撤去することはなかなか難しいものです。

仮に行政が強制的にごみを撤去できるとしても、「どうして税金で他人の家の掃除をしなければならないのか」という疑問が生じる可能性があります。

この辺りのバランスを考えることも難しい問題ですね。

きちんと法律でごみ屋敷への対策法を定めてもらえると動きやすいのですが、だからといって行政がごみ屋敷問題を放置しておくわけにはいかないですね。

空き家も増加

 ごみ屋敷は全国的にそれほど多いわけではありません。

それでもごみ屋敷対策法の背景には、少子高齢化による地方都市の空き家が増加傾向にあるからです。

放置された空き家は将来的に無人になり、ごみ屋敷となる危険性が高いのです。

もちろんごみ屋敷に関する法律が制定されても状況が劇的に変わることはないでしょう。

しかし、国から補助金が交付されれば現場としては大きなメリットになり、市町村間で連携する動きが出てくる可能性はあります。

ごみ屋敷問題は、少子高齢化・地方都市の過疎化・コミュニティの崩壊・経済的困窮などが複雑に絡み合った起きる現象だといわれています。

法案化や効果を疑問視する見方もありますが、法律をきっかけに、ごみ屋敷問題に対する理解が深まることが期待されています。