ごみ収集と寂しさ

 ごみ屋敷は、心が満たされていない場合に起こる表面的な現象の一つです。

心の状態が不安定な時というのは、誰もが経験していることでしょう。

つらい時、悲しい時、私たちは多くの人に支えられて、その大きな壁を乗り越えることができます。

しかし心が不安定な時期に、重圧が過剰にかかりすぎてしまったらどうでしょうか。

ごみ屋敷にしてしまう方は、深刻な精神病を抱えているわけではなく、むしろごく普通の、何も私達と変わらない割合が圧倒的に多いのが現状なのです。

つらいとき、自己防衛をしようと働いた本能が、少し通常とは違う行動を取らせてしまった結果がごみ屋敷ということなのです。

そもそもごみ屋敷は2つのパターンに分かれている事はご存知でしょうか。

汚部屋(おへや)・倉庫系、もしくは有機系に分けられます。

家具、家電、洋服、書類、趣味のおもちゃやDVDなどとにかくものが溢れかえっている部屋を汚部屋(おへや)・倉庫系と呼ぶようです。

スーパーやコンビニなどで買ったお弁当、カップ麺、ペットボトルなどの容器をはじめ、食べ残しや飲み残しまでが溜め込まれている部屋を有機系と呼びます。

有機系は腐食によるカビや虫の発生もあり、対処をしないと健康に害が及ぶ可能性があるでしょう。

それでは、なぜ普通に暮らしていた方が、ごみ屋敷を作ってしまったのか、その心理状態について探っていきましょう。

寂しさが埋まる

 ごみ屋敷を作ってしまうのは年配の方にも多く見られるようです。

例えばこのような事例があります。

ごみ屋敷に暮らす80代の男性がいます。

公務員だったというこの男性は、かつてはもちろん家族と一緒に暮らしていました。

ごみを溜め始めてしまったのは定年後のことでした。

重い心臓病を患い、思うように体を動かせなくなったことがきっかけのようです。

その後子供たちは独立して家を出て行き、時を同じくして妻とも別居。

広い2世帯住宅にたった1人きりになった男性はごみを片づける気力を失ってしまったと言います。

広い住宅に一人きり・・寂しさは容易に想像できますね。

ごみ屋敷というと重大な精神病を患っているのではないか、とついつい思ってしまいがちですが、誰にでも起こり得る、身近な話だということはお分かりいただけたでしょうか。

もちろんこの記事が全てという事ではありません。

このような理由でごみ屋敷に住んでいる方はごみをごみだと思っていない場合も多いでしょう。

ごみはぽっかり空いてしまった心の穴を埋めるための“思い出”なのかもしれません。

その人の心に出来てしまった壁を取り除くのは、容易なことでありませんが、親と子のコミュニケーション、友人同士のコミュニケーション、地域住民同士のコミュニケーション不足がこの事態を引き起こしてしまっているとも考えられます。

ごみ屋敷の住人は、決してまわりに迷惑をかけてやろう、などと思っているわけではないのですね。

ですから回りが少しでも理解する心を持ち歩み寄れたらいいのではないでしょうか。

孤独によるさみしさ

 「ごみ屋敷」と呼ばれるものが溢れた家に住んでいる人の傾向として、独身や高齢者が多いことが挙げられます。

中でも、愛する家族と死別してしまった人や、寄り添う相手が見つからず、孤独な思いを抱えている人が多いようです。

死別や失恋による寂しさから、心の隙間を埋めようとものを溜めこんでしまい、気がつけばごみ屋敷になっていたという事例も多数あります。

深い悲しみや孤独を感じたとき、そばにいて声をかけてくれる人がいれば、ごみ屋敷になることは防げたかもしれません。

もし、家族や友人にごみ屋敷の住人がいるのなら、ぜひあなたから一声かけてあげてください。

それが大きなきっかけになることもあるのです。