ごみ屋敷とセルフネグレクト

 人が家をごみ屋敷にしてしまう原因の一つとして、精神疾患があります。

精神疾患には、いくつもの種類がありますが、ここではセルフ・ネグレクトについてみていきたいと思います。

ごみ屋敷の問題と「セルフ・ネグレクト(自己放任)」には、とても密接な関係にあります。

セルフ・ネグレクトとは自分自身に関心がなくなることで、日常生活がおろそかになったり、人間関係を自ら拒否してしまう、つまりは、「生きることに投げやりになる」ということです。

生活そのものに興味がなくなってしまうので、「自分のことは放っておいて欲しい、自分がどうなろうと関係ない」と考えるようになり、ついには満足な食事を取らない、お風呂にも入らない、部屋を掃除をしない、体調を崩しても病院に行かない、というような状態に陥ってしまいます。

そして、自然と周囲の方も関わりを持とうとしなくなり、増々社会から孤立してしまい、セルフ・ネグレクトになっている方はさらに意固地になってしまうという、悪循環に陥ってしまいます。

その結果、孤独死(孤立死)や自殺に至ってしまうこともあります。

また、セルフ・ネグレクトの方は精神的に不安定になり、生活が荒れて、部屋がごみ屋敷化してしまうケースがとても多くみられます。

しかも、このような状態になってしまっているにもかかわらず、セルフ・ネグレクトの方の多くが、頑なに第三者からの支援の受け入れを断っているのです。

セルフ・ネグレクトに陥りやすい状況や原因・きっかけとしては、家族・友人・地域社会などからの孤立、家族や職を失ったことによる過去への執着心や孤独感によるもの、認知症、精神疾患、アルコールや薬物の依存、引きこもりからの移行、震災・災害などの影響、持病、離婚や離縁による生活環境の変化、経済的困窮など、様々な理由が挙げられます。

こう考えてみると特別なことではなく、誰もがセルフ・ネグレクトになる可能性があるのではないでしょうか。

近年は核家族化が進み、インターネットの普及の影響などもあり、対人関係が築けずに引きこもりがちになったりと、セルフ・ネグレクトの若年化の可能性が指摘されています。

そういった若者の多くは、自分がセルフネグレクトの症状があることに気付かずに、面倒臭いからといって部屋のゴミを放置するようになり、しだいに生活習慣や感覚が麻痺していきます。

やがては生活空間に悪臭がしたり、ゴミに埋もれながらでも平気で暮らせるようになり、他者の介入を拒否するようになっていきます。

実は彼らの多くは20代の若者であっても、セルフ・ネグレクト予備軍の状態にあるといえるでしょう。

セルフネグレクトの方は自分の殻にこもり、心に壁を作ってしまい、プライドが高くなる傾向があるため、第三者が承諾なしに勝手に部屋を掃除などしてしまうと暴れたり、罵倒したりと、とても暴力的(攻撃的・挑発的)な性格になります。

これをそのまま放置していてもいいのでしょうか。

セルフ・ネグレクトとごみ屋敷問題は、高齢化社会の日本において、大きな社会問題になっており、孤立するセルフ・ネグレクトを地域で支えるネットワークが重要であることは間違いありません。

最近では包括支援センターなどの介護支援者の方の活動により、約6割の人が支援を受け入れ、結果75%が改善、又は施設入居などにより終結しています。

ただし、残りの4割は「放っておいてほしいと本人が拒み、支援がとても困難」という調査結果が出ています。

しかし、セルフ・ネグレクトのことを少しでも理解し、生活環境の改善を支援するために第三者が介入できる仕組み作りをしていくことがとても重要でです。

それには支援者と支援を拒む人とのコミュニケーションのありかたを把握した上で、決して途中で見捨てることなく、根気よく対話を重ね、見守っていくことが大切なことだと思います。

セルフネグレクト(自己放任)とは?

 セルフ・ネグレクトとは、介護が必要な高齢者や子供を除く、成人した人間が、通常の生活を維持するために必要な行為を行う意欲・能力を喪失し、自己の健康・安全を損なうことをいいます。

本来やらなければならないことを放棄してしまう病気です。

その特徴として、身体が極端に不衛生、失禁や排泄物の放置、住環境が極端に不衛生、通常と異なって見える生活状況、生命を脅かす自身による治療やケアの放置、必要な医療・サービスの拒否、不適当な金銭・財産管理、地域の中での孤立等が挙げられます。

これを放置しないためにも、地域がしっかりセルフ・ネグレクトの支援を行っていく必要があります。